下剋上を目指す若者が挑む「下剋上版就活NEO」に、17人目として31歳の古川愛美が登場した。躁うつと糖尿病を抱え、最終学歴は中卒。それでも子どもたちに会うために人生を変えたいと語る古川に、社長・小谷弘樹を含む社長陣が向き合った前編を紹介する。
新ルール「ご意見番」が加わった収録
この回から、下剋上版には新たな仕組みが加わった。赤いテーブルに座る「ご意見番」である。求職者と社長という関係では、採用を前提にすると深いところまで聞きづらい場面もある。そこで視聴者の味方として代わりに突っ込み、ときには社長陣にも厳しく意見する役割を置いたという。初回のご意見番を務めたのは、ecxia株式会社代表の宮本聖菜だ。ご意見番には採用権がない。進行役は、採用しない立場だからこそ言えることがあると、その意図を説明した。
社長陣には、山本雅俊、井坂拓也、奈良秀二、そして小谷弘樹が並んだ。下剋上版には、求職者が社長を一人退出させるルールがない。進行役は社長陣に対しても、遠慮なく踏み込んでほしいと呼びかけた。

「環境のせいにしたくはなかった」
古川は31歳で、最終学歴は中学校卒業である。高校には進学したものの、2年生のときに妹が病を患い、車椅子での生活になった。同じ病を抱えていた母親には介護が難しく、担えるのは自分一人だったため、高校を中退せざるを得なかったという。職歴は2013年10月から2025年10月までにわたる。
古川は躁うつと糖尿病、そして中卒という三つを抱えながら就職活動を続けてきた。面接で病気について話すと打ち切られ、エージェントに登録しても紹介できる仕事がないと言われたこともある。それでも「環境のせいにしたくはなかった」と語り、もう一つの理由として、3人の子どもに会いたいという思いを挙げた。
社長陣の質問は、まずその歩みに向けられた。高校中退後は、自分で稼いだお金を主に妹の生活のために使っていたという。妹が2015年9月ごろに入院し、その1か月後に当時の仕事を辞めた。正社員にならなければという使命感が芽生えたのは、結婚と離婚を経て、子どもたちと離れて暮らすようになってからのことだった。

4年間会えていない子どもたち
離婚後、子どもたちの親権は元夫が持っている。当時の古川は専業主婦としてパートをしており、その収入だけで3人を育てるのは難しかったことなどを理由に挙げた。元夫については「とてもいい人です」と語っている。
それでも、離婚から4年間、子どもには一度も会えていない。理由として古川が挙げたのは、1人3万円、合計9万円の養育費を払えていないことだった。離婚の理由を問われると、古川は、出会った当初から義母との関係がうまくいかなかったことを挙げた。一方で、これまでで最もつらかったことについては、義母との関係よりも子どもに会えないことのほうがつらいと答えている。社長陣の一人は「旦那さんを決して悪く言ってないっていうところが僕は本当に素晴らしいなと思いました」と言葉をかけた。
ビジョンのプレゼンで、古川は「人は何歳からも変われる」と掲げた。自分の人生を好転させるとは、子どもたちに会い、一緒に過ごすことである。そのためにまず、最低でも10万円の養育費を支払えるようになりたい。31歳からでも人生を変えるチャンスはあると、自分の人生で証明したいと述べた。

中間評価と、「我慢」から「努力」へ
中間評価で、奈良社長は期待度70%・300万円をつけた。小谷も期待度70%・300万円を示している。井坂社長は80%・336万円で、養育費を計算に入れた数字だと受け取れるやり取りもあった。山本社長は30%・280万円だった。
古川が提示した希望年収は、240万円プラスインセンティブである。社長陣からは、それで養育費を払えるのかという問いや、インセンティブの部分が曖昧だという指摘が出た。古川は、営業のスキルも正社員の経験もないため妥当な金額だと考え、インセンティブの部分で上を目指したいと答えた。
病気の告知をめぐるやり取りもあった。面接で伝える義務はないことを確認したうえで、言わなければよかったのではと問われると、古川は、一度は隠して働いたことがあると明かした。職場でインスリンを打っている姿を店長に見られ、「うちでは面倒見きれない」と言われた経験である。これに対し社長陣からは、言ってくれたほうがうれしい、言ったほうがいいという声が上がった。
これまで稼いだ額は月に最高でも手取り12万円で、シフトを減らされたことや、気持ちが落ち込んでいるときに自分から減らしたこともあったという。社長陣の一人は、子どもに会いたいという思いは強くていいとしたうえで、「それだけだとちょっと本当にできるのかなって思っちゃう」と述べ、何をどう変えるのかを考えてほしいと求めた。
言葉に詰まりながら古川が語ったのは、これまでの人生は我慢しかしてこなかったということだった。幼いころから父親の理不尽な暴力を受け、小さな妹の面倒を見なければならなかった。やらなければならない使命のなかで生き、やりたいことをずっと我慢してきたという。言葉が止まった場面では、「フォローしてあげたいんだけど、ここは頑張って自分の言葉で言った方がいいと思う」という声もかけられた。
社長陣の一人は「我慢と努力って違うんですよ」と伝えた。嫌なことを嫌と言えない環境で育ったから、ため込む癖がついたのではないか。経営者は休みがなくても、これをやれば次につながると思っているからこそ楽しく働ける。我慢という言葉から抜け出して努力ができるようになれば、自分はこういう人間だと言えるようになる、という助言である。
前編はここまでとなり、続くスキルチャレンジの様子は後編で公開されている。

番組の全編は、YouTube「就活NEO」から。
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