就活NEOの243人目は、1億円のランボルギーニ「アベンタドール」に乗る夢を掲げる19歳の小林英明さん。社長陣から厳しい指摘が相次ぐなか、株式会社Unlimited Glowthの社長・小谷弘樹は、条件付きで採用に手を挙げた。
夢の起点は、踏切で見た1台のスーパーカー
「アベンタドール一筋でやってまいりました」。小林さんは自己紹介をこう切り出した。強みとして挙げたのは、好奇心の強さ、人を巻き込む力、そして素直さである。カラオケが苦手だった友人が自分から誘ってくるまでになり、筋トレは絶対にしないと言っていた友人5人にジムの1年契約を結ばせたという。父親の教育もあって嘘をつくのが苦手で、指摘を受けたらすぐにメモを取り、改善に努めてきたと語った。
両親は中国出身で、小林さんには日本の名前と中国の名前がある。小学生の頃には、そのことを理由にいじめを経験した。母親に勧められて柔道を始め、中学では地区大会で1位を獲得する。相手を力で見返すのではなく、結果で見返したかったと振り返った。高校時代にはうつ病を経験し、ゲーム依存に陥った時期もある。そこから抜け出すきっかけになったのは、クリスマスの夜に聞いたアベンタドールのエンジン音だったという。その後、避けていた筋トレにも挑戦した。アベンタドールとの出会いは小学生の頃で、地元・埼玉の踏切で初めてその姿を見て以来、強く惹かれてきた。欲しいのは、最終モデルとなる1億円の車だ。
高校卒業後は大学や専門学校に進まず、フリーランスとして法人向けのテレアポ営業に携わっている。進学に費用をかけるより、自分自身やお金の勉強に投資したほうが夢に近づけると考えた。現在は人材派遣の領域で、担当者への接触は1日70件、2か月でアポイントを20件獲得した。ただし受注には至っておらず、収入は月25万円だと明かした。男女ともに無料で使えるマッチングアプリの開発も計画している。
将来のビジョンとして掲げたのは、人と人との出会いを生むサービスをつくり、営業で学んだ稼ぎ方を人に伝えることだ。入社1年目は新規受注を安定して獲得し、2年目にトップセールス、3年目には社内ベンチャーに挑戦したいと語った。
中間評価で最も高い評価をつけた小谷
中間評価で最も高い期待度を示したのは小谷だった。85%・390万円プラスアルファ。19歳であることを踏まえ、「19の時の僕よりは全然大人だなと思うんでいいと思います」と評価した。
一方で、大野社長は期待度30%とし、評価年収はつけられないとした。表面だけで中身がなく、改善力もないという厳しい見立てである。都築社長は50%・360万円、古德社長は70%・360万円。長期的にどれだけすり合わせができるかが気になる、という声も出た。
空気が変わったのは、小林さんが希望年収として600万円プラスインセンティブを示した場面である。社長陣からは、現在の収入が25万円で成果報酬も得られていないのなら、少なくともそれ以上の価値はまだ示せていないはずだ、と根拠を問う声が上がった。小林さんの答えは、600万円を稼いでいるという余裕を持ちながら働きたい、というものだった。
社長陣の一人は、同じ物なら安いほうを買うように、価値のないものにお金は払わないと説いた。雇用契約を売買にたとえるのは適切ではないと断ったうえで、考え方としては同じだという。さらに別の社長からは、なぜ1億円のアベンタドールが欲しいのかを本当に突き詰めていたら、こうした提示にはなっていないはずだという指摘も出た。担当のキャリアアドバイザーによれば、当初はこれより低い年収を出していたが、前日のすり合わせで600万円が欲しいという話になったという。当初の金額を問われた小林さんは、360万円ほどだったと答えた。小林さんは、600万円の理由をきちんと考えていなかった自分が悪いと受け止めた。

声が届かなかったロープレと、最後の一手
スキルチャレンジのお題は、映像を自由に投影できるデジタルガチャマシンである。価格は1台30万円。対戦相手は、株式会社ミライユ兼株式会社昼JOBの外部顧問を務める与儀大介さんだ。客役には、小林さんがインパクトの強さを理由に指名した葛川社長が座った。
後攻の小林さんは、創業からの離職率を聞き出し、ガチャマシンを置くことで社員の離職を防げると提案した。毎朝ガチャを引くのが楽しみになれば、会社に行きたくなるという理屈である。しかし葛川社長は、離職防止にどうつながるのかイメージが湧かないと返し、30万円を使うならイベントや食堂の充実のほうが社員のやる気は出そうだと指摘した。最後に小林さんは、最初の1台分の30万円は自分が出すと提案したところで、時間切れとなった。
結果は5対0で与儀さんの勝利である。社長陣からは、緊張は分かるが声が小さく内容が聞き取れなかった、自信は言葉に乗せなければ相手に伝わらないという指摘が出た。ガチャで離職を防ぐというロジックが最後まで見えなかったという声もある。
最も厳しく指摘されたのは、最後の提案だった。営業担当者が自分の売る商品を自腹で買い、実績にする。それは誰も幸せにならない、最悪の選択だという。一瞬の成果にはなっても、会社にとって再現性のある成果にはならない。その社長は、自信のなさから最後に逃げる癖が出ている、と見立てた。
質疑でも、指摘は小林さんの姿勢に向けられた。好奇心が強いことは、裏返せばいろいろなことをやめてきたということでもある。営業はきつい仕事であり、社長陣が最も不安に思っているのは、すぐにやめてしまうのではないかという点だ。どれくらいの期間なら結果が出なくても続けられるかと問われ、小林さんは「半年でお願いします」と答えた。

「誰もが認める努力」を条件に
最終ジャッジでは、大野社長、葛川社長、都築社長が採用を見送った。大野社長は「成功するまでやり続ければ成功する」という言葉を小林さんに贈った。葛川社長は、自爆営業をしてはいけないこと、仕事は人がやりたくないことを引き受けるからこそ対価を得られるということを伝えた。都築社長は、最初のプレゼンの面白さを強みとして伸ばしてほしいと励ました。
小谷は45点としたうえで、300万円プラスアルファでの採用を示した。これが自社の最低ラインだという。高校を卒業して1年も経っていない小林さんに対し、「めっちゃ言い方悪くなっちゃうけど」と前置きして、「世の中なめんなよっていうのはちょっとすげえ思ってて」と率直に伝えた。今の営業を見る限り、営業職として採用されるかどうかすら怪しい。だからこそ、先ほど「半年」と答えたことに違和感があったという。
それでも小谷は、19歳という若さには時間があると続けた。いつ変わるか、いつ気づくかが重要で、今変われば大きく輝けるはずだという。条件は、本気で自分と向き合い、プライベートを捨てるくらいの覚悟で来ることだ。自社はインセンティブの比率が高く、覚悟とスキルがあれば自分の努力次第で伸びていける。そして、「自分なりの努力じゃなくて誰もが認める努力をしないと今の自分からは変わらないと思う」と言葉を重ねた。
古德社長も、600万円の条件では採用できないが、300万円であればという条件を示した。アベンタドールに乗るには自らリスクを負って起業する必要があるという認識を持ってほしい、という期待値の調整も添えている。
小谷と古德社長、2社からの条件付き内定を受け、小林さんが選んだのは小谷の会社だった。理由を問われると、最初に見たときに直感で「いいな」と思ったこと、そしていい人だと感じたことを挙げた。これには社長陣から、そうして簡単に決めてしまうからやめてしまうのだ、という指摘が入った。
中間評価で最も高い期待を寄せ、最終ジャッジでは厳しい言葉で覚悟を求めた小谷。その両方を受け止めたうえでの選択である。半年と口にした小林さんが、「誰もが認める努力」を続けられるかどうか。小谷のもとでの挑戦が始まる。


番組の全編は、YouTube「就活NEO」から。
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