社長・小谷弘樹が社長陣の一人として出演した就活NEO〔217人目〕は、番組史上初めての出来事から始まった。予定していた求職者が現れなかったのである。急きょ収録が繰り上がった2人目の求職者は、4月から公務員として働くことが決まっている大学4年生。小谷は営業ロープレの「顧客」に指名され、最終ジャッジでは厳しい判断を下した。
番組史上初の「ドタキャン」
収録が始まっても、最初の求職者は入室してこなかった。連絡もつかない。番組を200回続けてきて、遅刻ではなくドタキャンは前例がないと説明された。前日の面談では、来てほしいという呼びかけに笑顔で応じていたという。
社長陣の受け止め方は分かれた。約束を守ることは人として最も重要であり、来ない可能性があるなら「応募してくんなって感じ」という厳しい声が上がった。一方で、ここで求職者を悪く言うのは違うとして、「運営している側にも改善すべきことがあったんじゃないか」と自分たちを省みる声もあった。
番組では、ロープレで負けても採用されたり、握手まで至らなくても後に社長陣のフォローでキャリアが見つかったりした例がある。完璧な姿を見せるより、自分をぶつけに来てほしい。そうしたメッセージが、カメラの前で語られた。そのうえで、控室にいた2人目の求職者を休憩なしで迎えることになった。

公務員内定を持って、ベンチャーに挑む
2人目の求職者は、富山大学4年生の桑本幸輝。希望職種は営業である。強みには、結果へのこだわりと相手の目線に立てることを挙げた。4年間勤める居酒屋のアルバイトでは、自分がうまくできなかった経験を踏まえて、できない人に寄り添って教えているという。
桑本はもともと教員を目指して大学に入り、教育実習も経験している。そして、この4月から公務員として働くことが決まっている。気持ちが変わったのは4年生の夏だ。転職して大学教授になった人物から「40代でも若い」と言われ、挑戦する人生を歩みたいと考えるようになった。
実績として語ったのは、14年間の野球人生だ。初めての試合は32対0の大敗で、中学でも公式戦はほぼ1回戦負け。高校ではイップスを経験して投手から野手に転向したが、副キャプテンを務め、最後の大会ではクリーンナップを任された。大学では初めてレギュラーをつかみ、外野手リーダーとして北陸リーグ1部昇格に貢献した。
イップスの原因について、桑本は中学時代の監督が怒鳴る人だったことを挙げた。高校で監督から打者の才能を指摘され、ここで逃げたくないと野手転向を決めたという。社長陣からは、ベンチャーには厳しく指摘する会社も多く、それで動けなくなる「ビジネスイップス」を起こす人が少なくないとして、懸念も示された。
中間評価で、小谷がつけたのは期待度70%、年収360万円。社長陣のなかで最も高い期待度だった。ほかの社長の期待度は50〜60%で、示された金額は300万円台だった。これに対し桑本の希望は450万円プラスインセンティブで、今後のロープレで自分を見てほしいと訴えた。
ロープレの「顧客」に指名された小谷
スキルチャレンジのお題は、AI搭載型の全身鏡である。カメラでメイクやヘアセット、理想体重の体型予想を可視化でき、ダイエットメニューも提示する。価格は1台50万円。桑本が営業相手に指名したのが小谷だった。
桑本は第一印象を褒めるところから入り、外見で気を使っていることはあるかと尋ねた。小谷は、筋トレや体を動かすことが好きで、ボクシングもしていると答えている。そのうえで桑本が、理想の自分を映す鏡で社員の自信や営業成績を高められると提案すると、小谷は中身から育成すべきだと返した。育てたいのは「自分で栄養管理して自分でトレーニングメニュー作ってっていうとこからできる人間」だという。
さらに小谷は、似たことはスマートフォンのアプリでもでき「ほぼ無料で使えるし」と指摘した。50万円をかけるなら、マネージャーが身だしなみを指導し、必要な社員には美容代を支給するほうが安く済みそうだとも述べている。桑本は、第一印象で決定率が3〜5%上がるとして費用対効果を説明したが、ここで時間切れとなった。
続くプロ役の大谷真弘氏も小谷に営業した。社員は筋トレをしているかと聞かれた小谷は、「無理やり連れてってます」と答えている。プロは、鏡を使った合同トレーニング会や、達成時の服や髪型のプレゼントを提案した。

投票の結果は、プロが3.5票、桑本が1.5票。フィードバックでは、想定よりも話せていたと評価する声が上がった。一方で、説得ではなく納得してもらう営業が必要だという指摘や、自走する人材を育てたいという「小谷社長のパスがあったじゃん」と、そこを生かして話を展開できていれば結果は違ったという指摘もあった。
「保険」と口にした公務員内定
求職者ジャッジメントタイムで、桑本は早川社長を首に指名した。募集要項にあった「車好き」に自分は当てはまらない、という理由である。
最終質疑は、公務員の内定をどう考えているのかに集中した。今すぐ辞退できるかと問われた桑本は、公務員の内定は「保険」だと正直に認めた。失敗の多い人生だったため、失敗したあとを常に考える癖がついているという。内定が出たら1週間考えるつもりだと話した。
社長陣からは、公務員の内定先より高い希望年収を提示したことに一貫性がないという指摘も出た。失敗を恐れるならベンチャーより公務員が合っているのではないか、という声もあった。これに対し桑本は、ここで自分を変えなければ後悔すると思い、自分を変えるために来たと答えた。どちらの道を選んでも、後悔しない選択をしに来たという言葉に、司会は強い覚悟を聞けたと応じた。

最終ジャッジで、小谷は45点、採用しないと判断した。社長陣から指摘された点が気になったうえ、失敗を気にするのであれば公務員に進むほうがよいのではないかという。一方で「人間性とか素直さみたいなところは今の中ですごく感じた」とも述べた。点数が低い理由を問われると、「営業と熱量が感じられない」と答えている。

4人の社長はいずれも採用しないという判断だったが、その後、社長陣のうち3人から条件付きの提案が示された。希望額の450万円では採用できないが、公務員と同等の条件であれば検討できる。決める前に事務所を見学し、仕事を体験したうえで、本気で決意できたときに来てほしい、という内容である。
桑本は、生きていくうえでの価値観を教えてもらったとして、もう一度自分の人生を考えたいと話した。そのうえで握手を求めたのは岡田社長だった。岡田社長は、ベンチャーが最強だという立場は取らないほうがいいとし、自分たちを意思決定の材料に使ってほしいと伝えていた。条件付きではあるが、岡田社長のもとで話を進めていくことになった。
番組の全編は、YouTube「就活NEO」から。
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