YouTubeの就活番組「就活NEO」の211人目の回に、社長・小谷弘樹が社長陣の一人として出演した。求職者は、華やかな経歴を持ち、社内ベンチャーでの採用を希望する大学生の石川航平さん。事業プランには厳しい指摘が相次ぎ、小谷は最終ジャッジで「熱量」を理由に採用を見送った。
経歴は「普通にすごい」
この回の求職者、石川航平さんが希望したのは、営業職ではなく社内ベンチャーである。1分間の自己紹介では、サウナや筋トレ、海外旅行、パデルといった趣味を挙げ、強みとして行動力、リーダーシップ、異文化理解力を示した。オランダで生まれ、親の転勤により計10年ほどアムステルダムに滞在した経験を持つ。現地ではインターナショナルスクールに通い、日本語と英語をネイティブレベルで話せるようになったという。
実績のプレゼンでは、さらに多くの経歴が並んだ。中学・高校ではテニス部に所属し、京都で420人中3位の成績を残した。TOEICは930点。大学ではテニスからパデルに転向し、始めて2年でアンダー23日本代表に選ばれている。サークルも2つ立ち上げた。インバウンド向けツアー会社と提携するツアーガイドのインカレサークルは2か月で部員が80名ほどに達し、パデルのサークルは部員110名ほどの規模になった。サークルのスポンサー獲得にも成功している。
これらの経歴に対し、社長陣からは「普通にすごいよね」という声が上がった。ただし、肝心の社内ベンチャーで何をやりたいのか、なぜその道を選んだのかが見えなければ実力は判断できないという指摘もあり、関心は、スキルチャレンジで示される事業プランに向けられた。希望年収は350万円に、利益の10%をインセンティブとして加える条件だった。

社内ベンチャーのプランに相次いだ指摘
石川さんがスキルチャレンジで提案したのは、インバウンド向けのツアーガイドを旅行会社に年間契約で提供する人材事業である。訪日外国人の増加という市場の伸びを背景に、旅行会社ではガイドが足りないという課題をサークル活動のなかでよく聞いていたという。海外に関心があり、英語を使う仕事をしたい学生は多い。そこで、ガイド人材の募集から研修、稼働調整、品質管理までを一括で担う仕組みを描いた。学生ガイドの紹介料は年12万円、日本在住の外国人ガイドは年36万円とし、1年目は130名のガイドで売上2,280万円、営業利益1,766万円を見込む計画だった。

しかし、質疑では厳しい指摘が続いた。まず、評価ボードの記入前に「マネタイズできていて」と説明されていたツアーガイドの活動は、現時点では収益化できていないことが分かった。社長陣からは、資料を読み上げるだけでは内容が頭に入ってこない、自分が思っていることを自分の言葉で話してほしいという指摘があった。
事業の規模や費用についても疑問が示された。3年後に6,000万円という売上では、社長陣の事業規模からすると取り組む理由が弱いという。費用面でも、オフィス代や光熱費をどうするのか、アルバイト費の120万円では人を雇えないのではないかという指摘が上がった。
さらに、なぜこの事業をやりたいのかを感情を込めて話してほしいと求められると、石川さんは事業を思い立った理由を語り直した。オランダから日本に戻った際、日本のどこに行けばよいのかを聞かれても、日本人でありながら魅力を説明できなかった。その経験から、強みである英語力を生かして日本の魅力を世界に届けたいと考えたという。これに対しては、日本は親切で治安が良く観光しやすい環境であるため、ガイドがそれほど必要とされていないのではないか、日本の魅力を発信したいのであればツアーガイドの事業である必要はあるのかという意見も示された。

「人間性の良さをアピールしろ」というメッセージ
求職者ジャッジメントタイムで、石川さんが退出を告げたのは野口社長だった。理由は、自身が携わりたい海外展開という観点で最も合わないと感じたためである。ところが、退出後には、自社はすでに海外で事業を展開しておりリサーチ不足だという声や、自分こそが最も高く評価していたという声が上がった。事業モデルの甘さは指摘しつつも、人間的な魅力をアピールするよう助け舟を出していたつもりだったという。
最後の質疑では、数字の甘さが改めて指摘された。人件費の見積もりでは1年目はそもそも赤字ではないか、多数のガイドを管理するコストが見込まれていないのではないかという見方が示され、ガイドの育成はeラーニングでも代替できるのではないかという問いも投げかけられた。人材としては優秀だが、持ってきた社内ベンチャーの設計は練り込まれていないという評価も示された。社長陣からは、英語力を生かせる場所はほかにもあるのではないかという問いかけとともに、「多分小谷さんとかその辺り結構気にされてると思う」という言葉も添えられた。これに対して石川さんは、サウナ施設や、留学・ワーキングホリデー中の学生に向けた情報発信など、ほかにも考えている事業を挙げた。
小谷が見ていた「熱量」
最終ジャッジのトップバッターは小谷だった。結果は50点で、採用はしないという判断である。事業プランについては、ほかの社長陣が述べたとおり難しい面があるとしたうえで、小谷が最も気にかけていたのは別の点だった。「終始一貫して1番思ってたのは熱量感じないのと元気ないなっていうのはすごい思ってて」。いい人柄であろうことは伝わる一方で、緊張もあるとはいえ覇気が感じられない点が気になったと、率直に伝えた。

小谷の判断は、事業プランの完成度だけでなく、それを語る本人の熱量にも向けられていた。この点は、スキルチャレンジで社長陣から上がった、感情を込めて自分の言葉で語ってほしいという要望とも重なる。
一方で、評価は社長ごとに分かれた。井坂社長は50点で採用とし、入社前提でインターンを通じて経営を学んでほしいという条件を添えた。古德社長は70点で採用とし、社内ベンチャーのプランとは別に、英語を生かして福祉や介護の海外展開に一緒に取り組んでほしいという考えを示した。三浦会長は60点で不採用とし、社内ベンチャーで提案するならより大きなビジョンが必要であり、ブラッシュアップして再挑戦してほしいと伝えた。
2社から採用を受けた石川さんが選んだのは、古德社長の会社である。海外に力を入れていることと、福祉という分野の魅力を理由に挙げた。経歴の華やかさと、事業設計の甘さ。その両方が浮き彫りになった回で、小谷は数字や計画の先にある本人の熱量を評価の軸に据えていた。
番組の全編は、YouTube「就活NEO」から。
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